「本の国」に生まれた幸せ-印刷と製本の歴史-
卒業アルバム以外の無線綴じなどは引き続き承っております。
イシダ印刷が得意とするところの「印刷」と「製本」。いかに発明され、発展したのでしょう。今回は少し趣向を変えて「印刷バカ」を自称する私、石田秀樹が「印刷」と「製本」の歴史を解説することにいたしましょう。少しの間、お付き合いを。
「本」の歴史は古く、6世紀頃にはイタリアの修道士が聖書を羊皮紙に写したことが始まりだとの説もあります。その後、羊皮紙より軽くて扱いやすい「紙」が発明されますが、実際に普及したのは「印刷術」の発明がきっかけでした。ドイツの金細工師ヨハネス・グーテンベルクが1450年頃、活字の開発とそれを使った活版印刷術を発明。これをきっかけに人々が情報や知識を正しく伝達できるようになり、芸術・学術の革新運動ルネッサンスにつながっていったそうです。
書物のない時代というのは、人が口から口へと伝承する、いわゆる「口承」が情報伝達の手段。そのため正しく伝えるのは難しく、また人から人へ伝える途中で別の情報が入りこんでしまうなんていうことも起こります。長い歴史の中では内容が正確に伝わらないなど不便な部分も多かったでしょうね。
印刷が発明され、書物が作られるようになると、情報や知識は「紙」として保存、伝達されるようになりました。内容を正しく人に伝えることが可能になり、また後世にわたって残していくことができます。特に日本では山林が多く紙が豊富に普及したため、多くの本が作られました。各地に印刷所ができ、たくさんの本が生まれる国となったのです。
本の制作には印刷だけでなく、製紙、製本、折り業者など複数の職人がコラボレーションすることによってできあがります。日本は国土が狭いことも幸いしたのでしょうか。それぞれの職人が連携しやすく、製本の普及に拍車をかけたとも考えられています。
「本」にとってはなんと恵まれた国でしょう。昨今では電子書籍も普及し、「紙」にこだわらない人も多いかもしれません。私も決して電子書籍に否定的な人間ではありませんが、理屈抜きで「紙の本」に愛着を感じています。「紙」の手触り、風合い、匂いは何ものにも代えがたいのです。
知識を詰め込んだ「宝」であるたくさんの本に恵まれた日本。私を含めた「本好き」にはたまらない「幸せな国」だと言えるのではないでしょうか。
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